ミスターSの本棚

コクと旨味の秘密  伏木亨 新潮新書

(ミスターSです)


コクのある食べ物だ』『コクのある飲み物だ』
何かを食べたり、飲んだりしたとき「うまい!!」と思ったときに口にする言葉だ。

よく使う表現ではあるが、『コク』をうまく説明できない。
我々は、経験的、あるいは感覚的に知っているからである。

反対にまずい食べ物を口に入れると『コクのない味付けだね』と言ったりする。
『コクのる』とは、褒め言葉で、熟成、豊富な経験、豊潤、円熟などからもたらされる
総合的なレベルの高さを示しているという。

この『コク』の秘密をさまざまな切り口から解明しているのが本書である。

ネズミにもコクが分かるだろうか。
コクは人間だけが好むのか。

実験をする。するとどうだろうか。
ネズミは「油」と「糖分」と「ダシ」を好んで食べることが分かった。
これらはコクのコアな成分である。
ネズミは学習しなくてもコクの旨さ知っているのだ。

人間と全く同じである。コクは人間の味覚特有のものではない。
極めて本能的なものらしい。
コクの旨さには新生児も思わず微笑むという。

著者は更に、コクの全体像に迫る。

「油」と「糖分」と「ダシ」のコアな味を第一の層とすれば
コクには三層の構造があるという。コクの世界は単純ではない。
第二層のコクとして「食感、香り、風味」をあげる。
「とろみ」や「粘り」もコクの演出には欠かせない。
「香り」もコクを後押しする。

第三層のコクは、精神性に基づいたコクであるという。
必ずしも、物質を伴わない、実体のないコクとも言える。
実体を離れて新たな精神的な満足をもたらすものである。
料理人や食べる側の人生観が投影されたりする。

『コク』は奥が深い。
『コク』を語ることは、生き物としての本能、民族、歴史、文化を語ることである。

コクと旨味の秘密 (新潮新書)



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危険不可視社会  畑村洋太郎  講談社

(ミスターSです)

何年か前、個人情報保護法施行されたのをキッカケとしてシュレッダーが急速に普及した。
それまで使っていなかった小規模や一般家庭にまで入り込んだ。

その結果、小さな子どもの事故が相次ぎ、なかには両手の指を失うという取り返しのつかない事故も報道された。当時、私の心を痛めた事故だった。
「小さな子どもも触るかもしれない」という予測はあったはずである。
「なぜ起きたのか。防ぐ方法なかったのか」

私の思いに一つの解決を与えてくれるのが本書である。

著者は『危険学プロジェクト』を立ち上げた。
私たちは、より安全を求め安全性保障する機械やシステムを作ってきた。
一方では、社会から危険を排除する努力を重ねてきた。

これに対し『危険学プロジェクト』は仮説をたてた。

1、人と機械の関係が変わってきていることで、新たな危険が生じているのではないか。

2、「安全」を絶対視するがゆえに「危険」が一般社会から隠されているのではないか。

鋭い指摘である。
「安全な機械」に任せておけば安全だと思っているが「絶対安全」などありえない。
所詮、「安全な機械」も人間が介在するからである。
「安全」も「安全に見える」だけで、その内側には「危険」に溢れてる場合も多い。

原子炉の事故が起きるたびに「安全」が強調される。
原子力が安全であるはずはない。
著者は、原子力が危険であることを認め、想定外の事故にも対応できる安全策をとっていること知らせるべきだといっている。

遊園地の遊具も危険だから撤去するのでは、何の解決にもならない。
「何が危険か」の検証がない。メンテナンス不足も大きな要因であるという。

興味深い話を紹介している。

どんな安全装置を自動車に搭載しても、どんなに道路を改良しようと、あるいはどんなに交通違反取締り強化しても事故率はかわらないという「リスクホメオタシス理論」である。

例として、安全装置の搭載により、ドライバーがいままではしなかったより危険な運転をするようになる。
安全になったために、新たに生じる危険による事故が増えることを意味する。

著者は「危険地図」をつくろうとしている。
危険の「見える化」である。

危険を知って対処することによってのみ危険を回避することができるということだ。

危険不可視社会 [単行本]



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このブログはミスターSと、その仲間で読んだ本の所感等を書いています。私ことミスターSはフォトリーディングという特技で、1年間に365冊以上の本を読むようにしてます。このブログを読んで、気になった本があったら、ぜひ読んでみてください。

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