ミスターSの本棚

資本主義はなぜ自壊したのか  中谷巌 集英社

(ミスターSです。)


2008年9月のリーマンショックがあった。
識者といわれる人たちが連日メディアに露出していた。
著者もその一人であった。

現役の経営者や中堅ビジネスマンとが語り合う番組で
著者が自戒を込めて話しているのが印象的であった。

リーマンショックの直後に出版されたのが本書である。

著者自身も言っているように本書は「懺悔」と「転向」の書である。

小泉構造改革」の急先鋒の一人であった著者は
新自由主義思想に基づいた構造改革規制緩和路線に
「決別宣言」をしたのである。

グローバル資本主義市場原理主義が個人と個人のつながりや絆を破壊
社会的価値の破壊をもたらす「悪魔にシステム」であると
断罪するようになった。

若き日にアメリカに留学しアメリカ経済の繁栄を目の当たりした著者は
「アメリカかぶれ」になった。

アメリカ経済の魅力にどっぷり浸かった若き経済学徒が現在になって
「転向」に至るまでの「世界経済」と「日本経済」と「思索」の流れが
実に興味深い。

「歴史」「宗教」「文化」を縦横に語る。
商業を通じた社会貢献を説いた石田梅岩の「石門心学」も登場する。
かつての著者では思っても見なかったに違いない。

人類はグローバル資本主義というモンスターに国境を越えて移動する
「自由」を与えてしまったのだ。

取り返しがつかない「副作用」が生まれている。
今こそ「モンスター」に鎖をつけよと訴えている。

資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言 (単行本)





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世界を知る力  寺島実郎  PHP新書

(ミスターSです。)

情報通信の発達によって世界中の情報が手に入る。
交通の発達により世界中にいける。

「世界」を知る機会は飛躍的に増大した。
「世界知る力」を身につけたかというとそうではない。

「世界を知る力」とは時代や環境の制約を乗り越えたところに
あるという。

「時空を超える視界」を語る。
ロシアユーラシアとの歴史的関係を考察し、日本の戦後を検証する。

「相関という知」を語る。
ネットワーク型の視界で世界をとらえる。
中華民族ユダヤ民族ユニオンジャックのネットワークを知る。

次に「日本の戦後」をとらえる。
2009年夏の自民党大敗、民主党政権発足の意味を探る。
東アジア共同体」にも言及する。

「世界を知る力」とは情報力ではない。

歴史を直視し、時間や距離の制約を超越した想像力のことであると思う。

「世界を知る」には深い思考力と洞察力が要求される。

世界を知る力 (PHP新書)





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恐慌は日本の大チャンス  高橋洋一  講談社

著者の本は「ミスターSの本棚」に既に2回掲載した。

財務官僚で大学教授であった高橋氏は2009年3月
窃盗容疑で逮捕された。

本書の冒頭で「霞ヶ関に刃向かったものの末路」に経緯が語られている。
霞ヶ関批判を繰り返す元霞ヶ関の住人の逮捕は「国策逮捕」ではないか
とまで言われた。

副題は「官僚が隠す75兆円を国民の手に」である。

リーマンショック以来100年に一度という恐慌に直面している世界経済

日本には、他の国にはない強みがあるという。
80兆円にも及ぶGDPギャップである。
巨大な潜在能力である。

このパワーを解き放ち国民生活に利用することで日本は立ち直れるという。
実現のためには財源の裏づけが必要になる。
75兆円は必要と見る。

政府紙幣と金融緩和と埋蔵金で調達が可能だという。
埋蔵金は高橋氏が発掘したことで有名である。
政府紙幣の発行についても持論であるが更に突っ込んだ議論がされている。

ノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学の故フリードマン教授
提唱したように
ヘリコプターマネーを撒くごとく、政府紙幣を発行して撒く」
ことの正当性を訴える。

金融政策では「インフレ目標」政策を訴える。

鳩山内閣の管副総理デフレ宣言をしたが、もはやデフレスパイラルに陥っている
日本経済に対し有効な政策を打てていないのも事実である。

著者が言うように恐慌に直面している現在こそ「強国としてよみがえる」
チャンスである。

古い体制・制度を打破し、新しい秩序を構築しなければ
生き残ることが出来ないからである。

政治に対する期待・関心も大きくなっている。
政策論争を徹底して行って欲しいと思う。

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断る力   勝間和代   文春新書

(ミスターSです。)

先日テレビで『カツマー!』の特集をしていた。
勝間和代さんの生き方に賛同し、近づこうとしている
働く女性たちである。
カリスマ的な存在になっている。

勝間さんがいう「断る力」とは何だろう。

人から頼まれたら「自分の都合」で断ることだろうか。

著者ははじめに「断る力」とは何かを語り、圧倒的な効用を理解させる。
次に「断る力」を発揮するためのプロセス解説している。
「断る力」の分析は鋭い洞察に裏付けられている。

「断る力」とは何か。
日本人は「断る」ことが苦手な民族だと言われる。
「和」を尊ぶ民族である。

「空気を読め」というようにその場の雰囲気に合わせることが
求められている。
著者も言うようにこれには功罪があって、罪の部分に注目して、
「断る力」を身につけることによって自分のステージを上げるために
書いたという。

かつての勝間和代も「断る力」を持ってはいなかった。
メディアに出て自分の論理を展開できる勝間和代はいなかった。

会社での長時間労働、顧客に振り回され、挙句の果てには
ストレスで病気になった。
日本のサラリーマンの典型のような生活を送っていたのだ。

「コモディティ(班用品)」から抜け出し「スペシャリスト」になれたのも
「断る力」のパワーだ。

「断る力」を発揮するには「人間力」や「仕事力」が前提になる。
「人間力」や「仕事力」を得るためには「断る力」が必要である。
循環が展開されてくればしめたものだ。

「自分の軸」が磐石なものになり、自分のステージも一歩抜け出すことが
出来るという。

『断る力』は日本人の新しい生き方の提案に満ちている。

断る力 (文春新書)





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強欲資本主義ウォール街の自爆 神谷秀樹 文春新書

(ミスターSです。)

2010年4月16日のニュース
「米証券取引委員会(SEC)はゴールドマンサックスを証券詐欺罪で告発した。
サブプライムローン投資家を欺いた罪である。」

ミスターSの本棚でも既に取り上げたが『ウォール街の闇』の中で
サブプライムローンは巧妙な詐欺であると著者は指摘していた。


長年ウォール街の金融マンとして活躍し、引退後に大学教授になられた方の
テレビでのコメント思い出した。

『英語ができて、ニューヨークのウォール街で働くイメージ
かっこよく見えるかもしれないがやっていることはとんでもない虚業だよ。』
吐き捨てるように言っていたのが印象に残る。

著者は、住友銀行からゴールドマンサックスに転職したあと投資銀行を創業した。
ウォール街に20年以上身を置いている。

日本にはウォール街の正体報道されていないという。
ウォール街に強欲資本主義の地獄をみる。

金融の役目は忘れ去られ、「金融資本」が主役になり
本来であれば「主役」である「実業」が支配され「資本家の奴隷」になっている
実態である。

「事業」のために行う投資ではなく投資の対象は何でも良い。
「儲かれば何でもいい」のである。
ウォール街の強欲度の水準は日本人が考える「強欲」の
三乗か四乗レベルであることを知るべきだという。

強欲資本主義のメカニズムを明らかにしていくプロセスは面白い。

「金から金を生ませる」ために巧妙な仕掛けをし、飲み込んでいく。
「今日の儲けは僕のもの、明日の損は君のもの」
ドロボーの世界である。

企業間だけの話だと思ったら大間違いである。
ウォール街の「汚い仕事人」が破壊したしシステムの回復のために
一般納税者がツケを払わされるのである。

ウォール街の堕落を見てきた著者は日本人に期待する。
アメリカの子分であることをやめ、身の丈にあった
新しい生き方を見つけることを提案する。

日本人が日本人としての価値観に戻るときに世界経済の手本となるような
新たな資本主義を提案することを期待している。

「ウォール街を知れば世界が分かる」ことを教えてくれる本である。

強欲資本主義 ウォール街の自爆 (文春新書)






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ロハスビジネス 大和田順子 永津陽子 朝日新聞社

(ミスターSです。)

ロハスとは何か。

著者が日本で最初に「ロハス」を紹介したのが2002年である。
「Lifestyle of Health and Sustainability]の頭文字をとったもので
「健康と持続可能な社会を志向するライフスタイル」のことである。

大量生産、大量消費、大量廃棄」の権化である米国で始まった
ことは意味深い。

日本に「ロハス」が上紹介されて8年後の2010年の
日本、世界はどう変貌したか。

企業にとって「環境」は最も重要なキーワードになってきた。

昨年、トヨタがF1に参戦しないことを発表した。
F1がもたらすエンジンは社会の要請から外れたのだ。

プリウスに代表される「ハイブリッド車」がユーザーニーズになった。
「環境にやさしい車」が主役になった。

太陽電池の開発、製品化も急速に進展した。
「カーボン・オフセット」対応の商品も増えてきた。

官公庁の備品調達では、エコロジーが条件になった。
「カーボン・オフセット」対応の商品も増えてきた。
グリーン購入法」という法律まで制定された。


最も影響を受け変貌したのは企業経営であろう。

「環境」に配慮していない商品は売れない時代になった。
「消費者の支持」を得て「他社との差別化」をするには
「環境」がキーワードになった。

「ロハス」の考え方には3つの視点があるという。
「人の健康」「地域の健康」「地球の健康」である。
「ロハスビジネス」の理念である。

2008年の9月のリーマンショックで経済環境が激変した。
「生き方の変革」も余儀なくされている。
「ロハス」的には良いことが起きている。

「ロハスの考え方」は「人の生き方」も「製品の有様」も「企業経営」
も変えてきている。

ロハスビジネス



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すべては音楽から生まれる  茂木健一郎  PHP新書

(ミスターSです。)

街を歩いていると懐かしい歌が聞こえて来た。

学生のときに流行っていた曲だと思った瞬間に時間をさかのぼる。
当時の風景、色、匂いがよみがえり、自分は当時の人間になってしまう。
歌の力」である。

著者はいう。

人間の脳の中には一千億個の神経細胞による「音楽」が鳴り響いていて
外からの音の刺激が加わると
「内なるシンフォニー」が「外からくるシンフォニー」とトキメキに満ちた
出会いを果たすのだという。

脳科学者らしい表現である。

著者はクラシックが好きで
モーツアルトをはじめシューベルトワーグナーも語る。

私も経験したが子ども赤ん坊のときモーツアルトを聞かせると
不思議にすぐに眠った。
人から聞いていたとおりであったことを思い出す。

「音楽」は〈生〉を全うする手段だと言い切る。
科学者であるがゆえに、〈意味〉の世界に浸かっている。
音楽は〈意味〉が持つ不健康な側面から解き放す。

宇宙のあらゆる物質根源は「波動」といわれている。
仏教で「AUM](オーム)という音がある。
宇宙の「響き」の音だそうだ。

「すべては音楽から生まれる」とは「万物の根源は音(波動)である」
と読み替えられる。

「音楽の力」を再認識させてくれる本である。

すべては音楽から生まれる (PHP新書) (新書)



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数字の読み方  池上 彰  小学館

(ミスターSです。)

数字アレルギーの人は多い。

天気予報も数字になって久しい。
出勤前には「降水確率」が気になる。

パーセントでは傘は必要ないと判断する。
50パーセントではどうか。

たいていの人は「雨が降るか降らないか、確率は五分五分」と判断する。

「降水確率50%」とはどのような意味か。

「今日の天気図を過去の天気図と比較してみると、同じような天気図のときに
100回のうち50回雨が降ったことがある」ということだそうだ。

「日本の食料自給率は40%である」

普段食べている食事量の40%しか自給していないと思っている人は多い。
食料自給率は「量」ではなく「カロリー」のことをいう。

輸入食料である肉はカロリーが高い。
一方、国産の農産物である米、きのこ類はカロリーは低い。

「カロリー」に対し「金額」で見ると食料自給率は70%に達している。
数字の切り口を変えると結果が違ってくる。

 
平均寿命は「乳幼児」の死亡率と大いに関係があることは知られている。
平均貯蓄」もごく一部の大富豪が数字を上げている。

最近報道されるのが「鳩山内閣支持率」である。
30%を下回ってしまった。

新聞社やテレビ局電話調査を実施している。
調査人数も明らかにされているが、電話に出た人以外は対象にはならない。

「花見の人出」や屋外での「大規模集会」などの人数はどのように調べるのか。

本書では、「日常生活」「経済」『世界」等の数字を取り上げている。


一つの数字ですべては語れない。

同じ数字であっても「切り口」を変えるとと別の顔になる。
数字が生まれた背景を良く考えてみることが大事である。
意外な真実が見えてくる。

副題にもあるが、「発想力を鍛える」ことにつながるのだ。

発想力を鍛える数字の読み方―練習帳 (単行本)



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死の壁   養老孟司  新潮新書

(ミスターSです。)

バカの壁』の続編として出た本である。
死がテーマである。

著者は解剖学者として死体と向き合ってきている。
四歳のときに死亡した父が大きな影響を与え続けたことも告白している。
常に死と向き合う環境にいたのだ。

「なぜ人を殺してはいけないのか」著者は言う。

人間も含め生物は非常に複雑なシステムで作られている。
殺すのは簡単だが、一度壊したら二度と作ることは出来ないのだ。
自然が作り出した高度なシステムに畏敬の念を持つべきである。

友人宇宙船は人類の快挙であることは間違いないが、ハエでも空を
飛ぶのである。

ハエを作ってみろといわれても出来ない。
人間に対してだけではない。

牛や豚も同じである。
牛を食べる行為の前には牛を殺す行為がある。
しかし、人間は「殺牛罪」に問われることはない。

著者が言う「人間中心主義の危うさ」である。
人間以外に対し畏怖の念を持つべきだと力説する。

靖国問題」も死に対する民族性の違いとしてとらえる。
日本人は死ぬとホトケになり別物となる。
しかし、中国人は別物とは思っていない。

人間の死亡率は100%である。
死は勝手に訪れてくるものだjから考えても無駄であるという。

死と向き合ってきた人間の冷静な眼がある。

生き物に対する謙虚さと畏怖の念を身に着けた科学者の姿が
溢れている本である。

死の壁 (新潮新書) (新書)



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地頭力を鍛える   細谷 功  東洋経済新報社

(ミスターSです。)


地頭力」(じあたまりょく)

一般には聞き慣れないが、人材採用の世界やコンサル業界では
よく使うそうだ。

「頭がいい」には三つのタイプがあるという。

記憶力が優秀なタイプ
②機転が利き、気の回るタイプ
③考える力があるタイプ

「地頭力」は③の「考える力」があることである。

未知の領域であっても問題解決が出来る能力である。
ビジネスでも日常生活でも最も重要な能力の一つである。

インターネットの普及で知識・情報簡単に手に入る。
大学生の論文で「コピペ」が大きな問題になっている。
自分の頭で考えることを放棄しているのだ。

著者は質問をだす。

日本全国電柱は何本あるか?』
読者の地頭力を試す。

ツールとして「フェルミ推定」を紹介している。
物理学の推定に長けていたノーベル賞をもらった学者の
名前であるフェルミが由来である。

方法はこうだ。

面積あたりの電柱本数を調査
市街地と郊外に分類
③面積あたりの本数をエリア別にモデル化して算出

未知の問題であっても①仮説を設定し②因数分解し③モデル化
することで「解決」を得ることが出来る。

「地頭力」の中身は

①「結論から考える」仮説思考力
②「全体から考える」フレームワーク構成
③「単純に考える」抽象化思考力

経営戦略に最も必要な能力である。

フェルミ推定の訓練として、通勤電車や歩きながらの
「3分間事業シミュレーション」を薦めている。

「地頭力」を鍛えればオリジナルな発想が出来る
ビジネスパーソンになれるだろう。

「起業」のアイデアも湧き出てくるに違いない。

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」 (単行本)






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地球の名言


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このブログはミスターSと、その仲間で読んだ本の所感等を書いています。私ことミスターSはフォトリーディングという特技で、1年間に365冊以上の本を読むようにしてます。このブログを読んで、気になった本があったら、ぜひ読んでみてください。

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